犬が怖い。
小さい犬なら比較的大丈夫なのだけど、大きい犬はかなり怖い。特に突然吠えられるのが苦手で、散歩中の犬とすれ違うだけでもちょっと緊張する。
どうにかならないものかな、と以前から思っていた。
そんな中で知ったのが「VRを使った暴露療法」。
恐怖症に対して、いきなり本物の対象と対面するのではなく、VRの中で段階的に慣れていく方法が研究されているらしい。
それを知って最初に思った。
犬でもできるんじゃない?
犬恐怖症向けのVRアプリが欲しい
VRなら、現実では難しいことができる。
最初は遠くに犬がいるだけ。
慣れたら少し近くへ。
次は犬がこちらを見る。
さらに慣れたら歩いたり、近づいてきたり、最後には吠えたり。
怖さを少しずつ調整できるし、本当に無理ならゴーグルを外せば終わる。
これなら私でも犬に慣れる練習ができるかもしれない。
問題は、そんな都合のいいVRアプリを私は持っていないことだった。
じゃあ作るか。
……となったのは、たぶんAIがあるからだと思う。
VR開発未経験だけど、AIに作ってもらう
私はVRアプリを作ったことがない。
Unityにも詳しくないし、3Dモデルを作れるわけでもない。
少し前なら、この時点で「こんなアプリあったらいいのにな」で終了していたと思う。
でも今はChatGPTがいる。
やりたいことを相談して、開発の進め方を考えてもらって、実際の作業もかなりAIに任せてみることにした。
作っているアプリには、とりあえず 「CalmDog」 という名前をつけた。
目標はシンプル。
犬が怖い人が、VRの中で少しずつ犬に慣れるためのアプリを作る。
そして自分で使う。
思ったより早く「犬がいる」ところまで来た
開発を始めて、現在はMeta Quest 2で実際に動かせるところまで来ている。
舞台は日本の住宅街。
そこにジャーマン・シェパードがいる。
まだできることは少ない。
住宅街を移動できて、犬の表示・非表示を切り替えられて、犬には呼吸しているような軽い動きがついている程度。
吠えない。
追いかけてこない。
襲ってこない。
ただ立っているだけ。
なので、実際にQuest 2をかぶって試してみた。
犬に近づいてみる。
……。
普通にちょっと怖い。
まだ何もされてないのに。
VRになるだけで印象が全然違う
PCの画面で見ると、普通の3Dモデルに見える。
ところがVRの中に入ると、ちゃんと犬の大きさがある。
距離がある。
自分が近づいていくと、当然ながら犬がどんどん大きくなる。
「この犬は絶対に何もしてこない」と頭では分かっているのに、近づくにつれて少し身体が警戒する感じがある。
これは面白かった。
正直、最初はもっとフォトリアルに作らないと恐怖を感じないんじゃないかと思っていた。
でも、どうもそうでもないらしい。
背景も犬もまだ完璧なリアルさではないのに、VR空間で目の前にいるだけで結構違う。
だったら住宅街をひたすら綺麗にするより、犬の存在感を作り込む方が大事なんじゃないかと思い始めた。
次は「生きてる犬」にしていく
ということで、今は犬の動きを作っている。
ずっと同じ場所で同じ姿勢をしていると、さすがに置物っぽい。
自然に周囲を見たり、こちらを見たり、少し姿勢を変えたり。
そういう自発的な行動を入れて、「そこに犬がいる」感じを強くしていきたい。
その先では、歩く、近づく、吠える、といった行動も追加したい。
最終的には、
遠くに静かな犬がいる ↓ 近くに犬がいる ↓ 犬がこちらを見る ↓ 犬が動く ↓ 犬が近づいてくる ↓ 犬が吠える
というように、少しずつ難易度を上げられるようにするつもり。
どこまで作れば実際に「犬への恐怖に慣れる練習」として使えるのかも、自分で試してみたい。
「欲しいものがないから作る」が簡単になった
今回、VR暴露療法そのものと同じくらい面白いと思っているのがAIでの開発だ。
私はVR開発者ではない。
それでも、
「こういうものが欲しい」
とAIに説明して、
作ってもらって、
自分でVRゴーグルをかぶって確認して、
「ここをこうしてほしい」
とまたAIに伝える。
これを繰り返すだけで、少なくとも「住宅街に犬がいて、自分がその犬に近づけるVRアプリ」まではできてしまった。
数年前なら「こんなのあったらいいのにな」で終わっていたものを、今は自分で作り始められる。
この変化はかなり面白い。
まだCalmDogは開発の序盤。
本当に犬への恐怖を和らげる練習として使えるものになるのかも分からない。
でも少なくとも、VRの犬に近づいただけでちょっと怖かった。
第一段階としては、むしろ成功なのでは?
ということで、しばらく開発を続けてみる。
次はもう少し犬らしく動いてもらう予定。
そしてそのうち、吠えてもらう。
そこまで作ったときに、開発者本人がテストを嫌がり始めないことを祈る。




